理化学研究所

匠技で作りあげられた装置群

気体充填型反跳分離器GARIS 線型加速器RILAC

純国産の装置群と、加速器スタッフの不断の努力で

113番元素合成の立役者たち

まずは世界最高のビーム強度を誇る線形加速器ライラック(RILAC)。1秒間に2.4兆個もの亜鉛原子を光速の10%まで加速し、ビスマスの標的に照射します。もしビーム量が10分の1だったら?113番元素を3つ作るのに100年!とても発見出来ませんでした。

実はこのビーム、強力過ぎて、厚さ1万分の5mmのビスマス標的に穴を開けてしまいます。そこで、同じ場所にビームを当て続けないよう、標的を円盤上に並べ毎分3000回転以上で回すことにしました。この回転標的も立派な立役者です。

さて113番元素が合成されるのはとても稀です。そのうえ折角出来ても、大量の亜鉛ビームに混じってしまっています。その中から113番元素だけを選り分けられるのが気体充填型反跳分離器(GARIS)です。あたかも浜辺の砂の中から一粒のダイヤモンドを探し出すような大立役者です。このGARISが無くては、113番元素を見つけることは不可能なのです。

これらの装置はいずれも研究者が自ら設計し、加速器を運転するスタッフの人達とともに作り上げました。実験は24時間連続で何週間も休むことなく続きます。その間ずーっと加速器の運転を続ける加速器スタッフの不断の努力が実験を成功に導いてくれました。

気体充填型反跳分離器GARISの仕組み

ヘリウムガスがポイント

GARISは電磁石で粒子の進路を曲げて選り分けます。粒子の質量と電荷によって曲がり方が決まるのです。標的で作られた113番元素の質量は一種類、でも電荷はバラバラなので、曲がり方もバラバラ。これでは貴重な113番元素を集められません(電子が113個付いてれば電荷0価、電子が110個(3個取れている)なら+3価)。

そこで重要なのがGARISに詰めてあるヘリウムガス。113番元素がガス中を進む際、ヘリウムと衝突を繰り返しながら電子のやり取りをし続けます。実はこの変化し続ける電荷の平均値が一定の値に定まるのです(平均平衡電荷:本実験では+11.9価)。113番元素はこの値で決められる一定の軌道上を生成当初の電荷とは関係なく進み、もれなく検出器に達します。