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現存しない変化朝顔の例 (江戸時代の画集より)

変化アサガオの歴史

 アサガオは、奈良時代頃に薬草として中国から渡来したといわれますが、日本では花を楽しむ園芸植物として栽培されるようになりました。江戸時代には、自然突然変異によって生まれた珍しい花を大切に育てた変化朝顔(へんかあさがお)と呼ばれるアサガオが流行しました。この頃に作られた変化朝顔の多くは、九州大学やアサガオ愛好家などの努力により現代にも受け継がれています。
 近年、アサガオは実験植物として、花色や花型変異の研究や花を咲かせる仕組みの研究にも世界的に用いられています。理化学研究所・筑波大学・筑波大学附属坂戸高校では、重イオンビームを照射したアサガオを栽培して、「平成版変化アサガオ」を作ろうとしています。
これには2つの目的があります。

1.花や葉の形や色が変わったアサガオはいっぱいあるが、その他の性質、例えば花の咲く時期や時刻などが変わったものなどがない。このような性質が変わったアサガオを作る。
2.江戸時代に作出された変化朝顔で、絶滅して現代には伝わっていなものを復活させる。

 

イオンビーム育種法による変化アサガオ

▲仁科加速器研究センター
 理研の仁科加速器研究センターというところで植物体に重イオンビームというビームをあてて、強制的に突然変異を誘発させることにより変化アサガオを選抜しています。
 重イオンビーム照射による変異の誘発は、エックス線やガンマ線による変異誘発とは異なりDNA二本鎖切断によってDNA欠失型変異を高率に生じ、変異幅も広く、きわめて有望な育種技術となり得ることを見出しました。この発明は理研と放医研との共同研究として実施された重イオンビームがん治療法の開発がヒントとなっています。
 あさがお倶楽部で配られたアサガオの場合は種子に直接ビームを照射しているため変異体の出現率は落ちますが、その代わり大量の種子に照射することができるため、一般公開日などで大量に皆さんにお配りすることができました。
▲生物照射室
 1996年より民間企業や農業試験場などと共同でパイロット研究を実施したところ、ひとつの個体についてひとつの形質のみに変異が生じ、変異形質が安定している例が多数得られました。これらの変異個体そのものは新品種や交配親に成り得るため、通常10年と言われる育種年限の大幅な短縮の可能性を示しました。

 

なぜ2世代目でないとだめなのか

  花粉A 花粉X
卵細胞A AA AX
卵細胞X AX XX
変化アサガオの形質が現れる

 遺伝子は、受精によって、父方から1セット、母方から1セットが子孫に受け継がれます。重イオンビームを照射すると、多くの場合、片方の遺伝子だけが変化します。

 ここで仮に、Aという遺伝子が破壊されると、変化アサガオが出現するとしましょう。破壊された遺伝子をXと表します。重イオンビーム照射によって、AAのうちの片方だけが破壊され、AXとなります。お土産に持って帰った種子から咲いた花(1世代目)では、たとえ片方がXとなっても、もう片方の遺伝子Aが正常にはたらくので、アサガオの花に変化は現れません。

 1世代目で変化アサガオが観察されなくてもがっかりすることはありません。アサガオを受精させましょう。おしべの花粉から1セットの遺伝子と、めしべの胚珠のなかの卵細胞から1セットの遺伝子とが、種子(2世代目)に伝わります。花粉と卵細胞との両方からXを受け継ぐとXXをもつ種子ができます。XXをもつ種子が出現する確率は1/4(AX X AX = AA+2AX+XX : メンデルの法則)です。すなわち、あなたの選んだアサガオが遺伝子Xを持つならば、2世代目の1/4の個体に変化アサガオが咲くことでしょう。少なくとも219個はあるとの報告もありますが、ここで仮定した遺伝子はいくつあるのかわかっていません。あなたのアサガオが、「世界で一つだけの花」を咲かせるかもしれません。

 
 


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