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RIビームファクトリーとは

RIビームファクトリーでは様々な実験装置を使って、
原子核の構造と反応を研究しています。

RIビームファクトリー(RIBF)はウランまでの全元素の不安定原子核を発生し、それらの性質を調べる装置です。
RIBFの特徴は世界でも珍しい「多段式」の加速器です。最終段階に位置する加速器SRCは世界初、総重量8,300トンで世界最大、世界最強の加速器です。

3基のリングサイクロトロン(fRC, IRC, SRC)とRIビーム生成分離装置 (BigRIPS)を使用してRIビーム発生能力を飛躍的に高め、RIビームをウランまでの全元素にわたって世界最大強度で発生させます。さらにRIビーム実験施設では独創的な実験設備群(一部整備中)を用いて、発生するRIビームの多角的な高度利用を図ります。新たな原子核モデルの構築、元素の起源の解明といった根源的な研究が可能になるばかりか、新しいRI技術による新産業の創出に貢献することができます。
加速器と実験設備はすべて地下室に収容されます。

SRCとBigRIPSによる原子核の世界の飛躍的拡大

下の図は、「核図表」といいます。1マスが1種類の原子核に対応し、その原子核を構成する陽子が縦軸に、中性子の数が横軸に表されています。黒マスは天然に安定に存在する原子核で、オレンジ色のマスの部分は人工的に創られました。
現在のウラン合成仮説では超新星爆発のときに青色の点線矢印上の原子核が瞬時に合成され、それらがベータ崩壊してウランまでの重元素ができたとされていますが、それらはすべて未知の原子核です。理研が原子核の研究を始めRIBFが始動してからこれまで200個近く原子核を発見してきました(2021年現在)。これから計画されるRIBF大強度化の暁には赤枠の原子核が生成可能になるので、世界にさきがけて、この仮説の実験室での検証が可能になります。このことはまた、現在宇宙で生まれている、あるいはこれまで宇宙で生まれてきたほぼすべての原子核が実験室で生成・観察できるようになることを意味しています。

核図表(複雑な図表のため説明は省かせていただきます)

2002年には現施設での生成限界に近い43Siが新しく発見されました。現在のウラン合成仮説では、超新星爆発のときに図中の青色の点線矢印上の原子核が瞬時に合成され、それらがベータ崩壊してウランまでの重元素ができたとされていますが、それらはすべて未知の原子核です。RIビームファクトリーにより赤枠の原子核が生成可能になるので、世界にさきがけてこの仮説を実験室での検証が可能になります。

RIビーム発生用加速器の構成

加速器構成の模式図

ウランを核子あたり345MeVまで加速する場合は、RRCと中間段リングサイクロトロン(IRC)の間に固定加速周波数型リングサイクロトロン(fRC)を使用します。これによって80kWという史上最強の重イオンビームパワーが得られます。また、偏極重陽子を核子あたり440MeVまで加速する場合は、AVFを入射器としてfRC,IRCは使用せず、RRC+SRCの組み合わせで加速します。

RIビームファクトリーが目指すエネルギーと強度

質量数と核子あたりのエネルギーのグラフ右の図はRRCと、fRC、IRC、SRCの各加速器で実現されるビームの種類とそのエネルギーおよび強度を表しています。ビームの大強度化と高エネルギー化により、生成されるRIビームの種類と強度が飛躍的に増加し、これまで強度やエネルギーが低かったために実現できなかった実験や、新しい種類のRIビームを利用した様々な実験が実現可能となります。