2009年3月25-26日
理化学研究所 RIBF棟2F大会議室
基礎科学としての原子核物理では、量子多体系である核構造・核反応の理論を 発展させ、世界をリードする研究を行われている。理研RIBFの稼動により、実験 とのより一層緊密な連携が求められている中、応用側面から要請される核データ を知ることは非常に重要である。一方で、日本の核データ研究は、JENDL(Japanese Evaluated Nuclear Data Library)をはじめとする反応断面積の評価を精力的に 進めており、多くの知識と経験を有すると同時に、新しい核理論模型による精密 計算を必要としている。核物理(基礎)と原子力(応用)の間の交流を活発化し、 本ワークショップをひとつの契機として、より一層の協力関係を構築したい。
このような趣旨のもと、2日間のミニワークショップを理化学研究所において 開催した。開催日は、3月下旬の日本原子力学会と日本物理学会の間の日程を 選んだ。どちらの学会も東京において開催されたため、双方の研究者にとって 参加しやすい日程をねらったものである。約40名の参加者があった。 ワークショップでは、原子力に関わる研究者、特に核データとその評価の研究者 とRIBF周辺の理論核物理に関わる研究者との間で活発な意見交換が行なわれ、 核データの必要性、原子力が求める核反応断面積、計算手法などについて 意見交換が行なわれた。
プログラム
3月25日(水) [座長 : 中務 孝(理研)] 11:00-11:10 はじめに 11:10-12:00 千葉敏(JAEA)「原子力と核物理の接点」 12:00-13:30 昼食 仁科センター・コロキウム 13:30-15:00 加藤幾芳(北大) 「最近の北大核反応データセンター活動」 [座長 : 市川隆敏(理研)] 15:00-15:40 吉田正(武蔵工大) 「ベータ崩壊の理論および実験と原子炉崩壊熱」 15:40-16:00 平田雄一(自宅) 「QMDを用いた10Be+12C反応の解析」 16:00-16:20 小濱洋央(理研) 「高エネルギー核反応データ収集への期待」 16:20-16:40 休憩 [座長 : 加藤幾芳(北大)] 16:40-17:20 渡辺幸信(九大)「高エネルギー核データの現状とその応用」 17:20-18:00 中務 孝(理研)「計算核データ構築に向けて」 3月26日(木) [座長 : 千葉敏(JAEA)] 10:00-10:40 小野章(東北大)「核破砕反応・シミュレーション計算」 10:40-11:20 大塚直彦(IAEA)「IAEAの核データサービス」 11:20-12:00 市川隆敏(理研)「巨視的-微視的模型を用いた核分裂の研究」 12:00-13:30 昼食 [座長 : 中務 孝(理研)] 13:30-14:20 河野俊彦(LANL) 「Nuclear Reaction Modeling for Energy Applications」 14:20-14:40 青山茂義(新潟大)「統一インターフェースによる核データの検索・数値計算統合システムの開発」 14:40- 討論
世話人:
市川隆敏(理研)、加藤幾芳(北大)、千葉敏(JAEA)、中務孝 (理研)
2009年 4月 2日