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理論物理学の研究

理論物理学の役割

分子を構成する原子が、正電荷を帯びた原子核とそのまわりを回る電子で構成されていることは、約100年前に長岡半太郎博士やラザフォード博士により明らかにされました。その後、原子核は、陽子や中性子が中間子を交換する事により結合していることが湯川秀樹博士により提唱され、さらに陽子や中性子は3つのクォークとそれを繋ぐグルーオンと呼ばれるゲージ粒子からなることが南部陽一郎博士により提唱されました。また、これらミクロな粒子を扱うための理論的基礎が朝永振一郎博士らによりに与えられました。

1970年代にはいると、クォークが6つあることが小林誠博士・益川敏英博士により予言され、現在では、6種類のクォークと6種類のレプトン(電子やニュートリノの仲間)に基づくゲージ理論が、素粒子の標準理論として確立しています。また、クォーク・レプトン・ゲージ粒子に加えて重力子をも含む究極理論の候補として超ひも理論の可能性が検討されています。

このように、我々を取り巻く物質の構造は何重もの階層をなしています。これを理論と実験の共同作業により解明するのが物理学の使命といえます。特に、『理論物理学』の役割は、階層構造が行き着く先を理論的に探究するとともに、階層を越えて横断的に存在する論理構造を明らかにすることです。前者の典型例は『超ひも理論』であり、後者の典型例は、さまざまな階層で共通に表れる『対称性の自発的破れ』や『相転移現象』です。宇宙初期にあらわれるクォーク・グルーオン・プラズマや、中性子星内部にあらわれる中性子超流体・ハイペロン物質・クォーク物質などの新奇な物質構造も理論物理学の対象となります。

ビッグバンから現在に至るまでの宇宙の進化の図。

宇宙と物質の神秘に迫る

仁科加速器科学研究センターの理論研究を行っている研究室では、超ひも理論がもたらす新しい数理、強い非線形性と量子性を持つクォーク・グルーオンの動力学、陽子・中性子・ハイペロンなどが織りなす多彩な量子現象を、紙と鉛筆とスーパーコンピュータの助けを借りて理論的に研究することで、宇宙と物質の神秘に迫ろうとしています。

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研究室名 役職 代表者
量子ハドロン物理学研究室 室長 岩崎 雅彦
ストレンジネス核物理研究室 室長 肥山 詠美子