液体ヘリウムを回収するヘリウムリサイクル事業
RIKEN-HeLP (RIKEN Helium Loop Project)

概要

液体ヘリウムは沸点が-269℃と元素の中で最も低く、医療用MRI の超電導磁石の冷却や極低温での測定を必要とする低温工学の研究者にとっては、欠かすことのできない重要な物質です。一方で、ヘリウムは非常に稀少性が高いうえ、近年では世界的な需要の高まりによりたびたびヘリウム危機が発生しており、全てを輸入に頼る我が国では一層深刻な状況です。

理研では約60 年前からリサイクルに取り組んでおり、低温技術チームのヘリウム液化施設は所内で使用したヘリウムを回収し冷やして再び液化し、必要な研究者に配って研究の基盤を支えて来ました。この様な回収施設としては国内最大級の規模と高い品質レベルを誇っています。このたび、民間で使用済みとなった医療用MRI からヘリウムを回収し、再び精製・液化した「リサイクルヘリウム」を提供する事業：RIKEN-HeLP (RIKEN Helium Loop Project)を開始します。これにより「ヘリウムリサイクル」社会の実現に貢献していきます。

募集内容

中古（使用済）MRI装置を理研に受け入れ、内蔵されている液体ヘリウムを理研の液化装置によって精製・再液化を行い、「リサイクルヘリウム」（液体）として理研外に提供します。今回の募集では、ヘリウムリサイクル社会の実現に共感し、液体ヘリウムを内蔵した中古（使用済）MRI装置を理化学研究所（埼玉県和光市）まで持ち込んでご協力頂ける企業（中古（使用済）MRI装置持込者）の皆様からのご応募を心よりお待ちしております。ご関心のある方は、基本契約（下記）をご参照頂き、液体ヘリウム持込申請書に必要事項をご記入のうえお申し込みください。
また、ヘリウムユーザー向けの提供も準備が整い次第、ご案内する予定です。

• 中古（使用済）MRI装置内の液体ヘリウムを理研にて回収・精製・再液化した後、回収された純ヘリウムガス量の最大75%（※）を持ち込んだ企業、機関などに返却します。なお、残りの25%は精製・再液化及び管理の対価として理研に譲渡していただきます。更に余剰が生じた場合は、国内のヘリウムユーザーへの供給を計画しています。
• 本事業では、再利用価値のあるMRIのみを取り扱い、「廃棄物」としてのMRIは取り扱いいたしません。廃棄物の定義といたしましては環境省が令和3年4月14日に発出している行政処分の指針について（通知）の記載を参考にしております。
• 中古（使用済）MRI 装置の搬入及び搬出にかかる手配及び費用は中古（使用済）MRI装置持込者にご負担いただきます。

※2025/11/14時点。返却するヘリウムの割合は変動する可能性があります。
※中古（使用済）MRI装置持込者に帰属するヘリウムは、理研内で貯蔵し、希望に応じて提供します。

 

募集要件

1. 液体ヘリウムの運搬においてMRI装置メーカーが定めた安全措置に準拠する運搬が可能であること
2. 1年以内に液体ヘリウムが入っているMRI装置を運搬した実績があること
3. 申請者、または、委託先が産業廃棄物収集運搬業許可および産業廃棄物処分業許可を有していること（各許可証の写しの提出をお願いします）
4. 液体ヘリウムの回収処理後、速やかに当該中古（使用済）MRI装置を理化学研究所の敷地外に搬出し、自己の責任において関係各種法令（廃棄物の処理及び清掃に関する法律を含みますが、これに限られません）及び監督官公庁からの指示命令等に則り適切に当該中古（使用済）MRIを処理することを確約すること
5. MRI装置技術者が所属していること、または、外部の技術者との協力体制が築けていること
6. 日本の法人格を有し、理研との契約締結が可能であること（登記事項証明書等理化学研究所が求める書類の提出をお願いします）
7. 基本契約（Wordファイル : 52kb）を遵守可能であること

申し込み方法

1. 液体ヘリウム持込申請書 (Wordファイル : 36kb)をダウンロードし、持ち込み予定量および適合確認要件などを記入したうえで、PDF形式にて下記連絡先へ提出して下さい。
2. 申請内容に基づき、応募者の技術力や組織体制等の総合的な観点から審査を行います。
3. 中古（使用済）MRI持ち込みの際は都度「回収報告書（Excel 28kb）」をダウンロードし、PDF形式にて下記連絡先まで提出してください。提出後、担当者からご連絡します。 

連絡先

宛先：理化学研究所　仁科加速器科学研究センター　低温技術チーム
メール：RIKEN-HeLP[at]ml.riken.jp
（※ [at]は@に変換してください。）

事業ロゴ

ヘリウムリサイクル事業：RIKEN-HeLPを表すロゴです。