
仁科加速器科学研究センターは原子核物理学の研究所です。
加速器を使った実験系研究者と、理論系の研究者がいます。加速器を使い原子核を加速することができ、原子核の構造や性質を研究しています。
世界一の加速器施設を使い、理論系の研究者と実験系の研究者が一緒に原子核の謎に迫る世界でも類を見ない研究所です。
また、加速器の共同利用にも力を入れているので、グローバルな研究所としても発展し続けています。
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原子 1 つの沈殿を調べる!
-超重元素ラザホージウムの共沈挙動の実験的観測-原子番号の大きな新元素、超重元素のひとつ である 104 番元素ラザホージウム(Rf)の単一化学研究に おいて、世界で初めて沈殿に関する性質を調べることに成 功しました。

スズ原子核の表面でアルファ粒子を発見
-中性子星の構造とアルファ崩壊の謎に迫る-RCNPサイクロトロン施設の高分解能磁気分析装置を用いた実験により、スズ(Sn)同位体の原子核表面に存在するアルファ粒子、つまりヘリウム-4原子核(4He、陽子数2、中性子数2)を発見しました。
超伝導転移端検出器TESを用いた蛍光XAFS分析に成功
-超微量分析や発光分光法への応用の端緒を拓く-大型放射光施設 SPring-8のビームラインBL37XUにTESを持ち込み世界で初めてTESを用いた環境試料の蛍光XAFS(X線吸収分光法)分析に成功し、超微量分析や発光分光法への応用の道を拓くことに成功しました。

リチウム-11ハロー核内での中性子対相関に新たな発見
-ダイニュートロンの表面局在の証拠見つかる-
理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の多粒子測定装置「SAMURAIスペクトロメータ」を用いて、代表的な中性子ハロー原子核であるリチウム-11(11Li、陽子数3、中性子数8)核中で、「ダイニュートロン」と呼ばれるコンパクトな中性子対が核表面に局在化している証拠を得ました。

原子核の存在限界(中性子ドリップライン)の新たなメカニズム
-中性子は原子核にいくつ入るか-
ドリップラインを理論的に研究し、それを決定するメカニズムに関して、旧来のものとは異なる新たなものを提案し、それがフッ素(Z=9)からマグネシウム(Z=12)のアイソトープのドリップラインを記述することを示しました。

立体的な曲面構造を持つグラフェンの電子物性を解明
-立体デバイスの小型化高密度化に向けた性能指標の提示-
炭素1個分の厚さしかない原子層物質である2次元グラフェンシートをモチーフとする3次元構造体を作製し、立体的な曲面構造を持つグラフェンが2次元グラフェンの特性を大きく上回る優れた物質であること、さらに立体的な曲面構造がグラフェンの特性にどのように影響するのかを明らかにしました。

チタン同位体におこる新たな安定化現象を発見
-質量測定で迫る原子核の存在限界-
非常に多くの中性子を含有するスカンジウム同位体、チタン同位体、バナジウム同位体の質量を世界で初めて精密測定し、質量の変化量の分析から陽子22個と中性子40個で構成されたチタン-62核の内部で中性子が強く結合され、原子核が安定化している現象を発見しました。

フッ素-29が「2中性子ハロー原子核」であることを発見
-魔法数20の消失と中性子ハロー構造の出現-
フッ素-29(29F、陽子数9、中性子数20)原子核の半径を初めて測定し、29Fでは二つの中性子が原子核から染み出て、月にかかる暈(かさ:ハロー)のように広がった「2中性子ハロー原子核」となっていることを発見しました。

正負のミュオンで捉えたイオンの動き
-Liイオンの動きを、負ミュオンで確認、正ミュオンで詳細観察-
負電荷を有するミュオン(μ–)が物質中では原子核に捕獲されて動かないことに注目し、世界で初めて負ミュオンスピン回転緩和法(μ–SR)と正ミュオンスピン回転緩和法(μ+SR)を組み合わせたハイブリッド測定「μ±SR」を提唱し、これにより電池材料中でリチウムの拡散を確認し、その拡散係数の導出に成功しました。

伝導電子スピンの奇妙な「短距離秩序」を世界最高温度で発見
-新物質Mn3RhSiで新しい金属状態が実現-
原子力機構が世界で初めて合成した新物質Mn3RhSiにおいて、720K(447℃)という世界最高温度で伝導電子スピンの一部がほぼ固化(短距離秩序化)し相分離していることを中性子とミュオンを相補的に用いた観測で発見しました。

陽子衝突からの左右非対称なπ中間子生成
-粒子生成の起源に迫る新たな発見-
米国ブルックヘブン国立研究所(BNL)の偏極陽子衝突型加速器「RHIC(リック)」を使って、反対方向に運動する陽子同士の衝突により、衝突位置の超前方に生成される「中性π中間子」が大きな左右非対称度を持つことを発見しました。
コンパクトな新奇中性子対の新たな証拠を発見
-不安定核ビームを用いた実験と少数系理論により実現-
ホウ素同位体の中で最も中性子数が多いホウ素19(19B、陽子数5、中性子数14)に中性子ハローの構造を特定し、さらに中性子ハローを形成する2つの中性子がダイニュートロンと呼ばれるコンパクトな新奇の中性子対であることを突き止めました。この成果は、理研の強力な不安定核ビームを用いた実験と最新の少数系理論の共同研究により実現しました。
原子核の秩序「魔法数」の消失をフッ素同位体で発見
-中性子数が過剰な極限原子核に現れる魔法数異常-
中性子数が陽子数の2倍以上の原子核「フッ素28」(28F、陽子数9、中性子数19)の準位構造を初めて明らかにしました。フランスやドイツの研究機関・大学などとの国際共同による実験により実現しました。
1個の陽子が引き起こす大きな核構造変化の発見
-中性子過剰核の存在限界の謎に迫る-
理研の重イオン加速器施設「RIビームファクトリー(RIBF)」の高分解能磁気分析装置SHARAQ(シャラク)を用いて、中性子過剰な「二重魔法数核」である酸素-24(24O、陽子数8、中性子数16)原子核に陽子を1個加えたフッ素-25(25F、陽子数9、中性子数16)原子核内で、24O核の構造が大きく変化している証拠を得ました。
ジルコニウム同位体は励起状態でも突然変形する
-99Zrの励起状態の核磁気モーメント測定から明らかに-
中性子過剰なジルコニウム(Zr)同位体である99Zr(陽子数40、中性子数59)の励起状態の核磁気モーメント測定に世界で初めて成功しました。
急激に膨れる原子核
-カルシウム同位体で見つかった異常な核半径増大現象-
質量数42から51までのカルシウム(Ca)同位体の核物質半径を初めて測定し、二重魔法数核のカルシウム-48(48Ca)を超えた領域で突如起きる異常な構造変化を発見しました。
新たなハイパー原子核「グザイ・テトラバリオン」
-グザイ粒子の振る舞いを精密計算で解き明かす-
グザイ粒子1個と核子3個からなる新たなハイパー原子核(ハイパー核)「グザイ・テトラバリオン」の存在を理論的に予言しました。
トリウム原子核の精密レーザー分光実現へ重要な一歩
-トリウム229アイソマー状態のエネルギーを決定-
トリウム229原子核の準安定状態である「アイソマー状態」のエネルギーを決定しました。
超微量硫黄同位体比分析を考古学に応用する
-京田遺跡の出土品から赤色顔料を精密分析-
独自に開発した試料採取法と高感度な硫黄同位体比分析法を組み合わせ、島根県出雲市の京田遺跡(約3,500年前の縄文時代後期中葉に営まれた大規模な集落跡)から出土した超微量の赤色顔料(朱:組成は硫化水銀)の産地同定に成功しました。